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消防用水ポンプエンジン始動不良

長期間使用していなかったエンジンが始動しないというご相談

ヤンマー製(7.1ps)1気筒エンジンの始動点検
燃料を昇圧する噴射ポンプからエンジンシリンダー内部へ霧状の燃料を噴霧する噴射ノズルを繋いでいる高圧パイプを外し、噴射ポンプから燃料が噴射されるかを確認します

燃料噴射しませんね。
これではエンジン始動に至りません

原因追求のために噴射ポンプ単体をチェックしたいので取り外します
取付ボルトを3本外し噴射ポンプ本体をスコンと抜…ヌ…抜けません笑
燃料噴射量を調整するコントロールラックが適正な位置になければ抜けない構造なので、コントロールラックが動かなくなっているのだろうと予想。

付属品を取り外しフロントケースごと取り外すことにします

噴射ポンプを分解して消耗品は交換します
固着していたのは「プランジャー」という上下ピストン&左右回転運動をする部品でした
この「プランジャー」は摺動部の燃料で油膜を張るという非常にシビアな寸法で設計された部品なので、極小さなゴミやサビで動かなくなってしまう部品です。
長期間エンジンを始動しなかったり、自前の簡易燃料タンクから給油する場合には

①きれいな燃料(水分やゴミ等の不純物のない)を給油すること
②なるべくタンクに燃料を満たすこと(タンク内壁は温度差により水分が付着します)
③定期的(1週間に10分程度)にエンジンを始動して燃料・オイル・冷却水を循環させること(オルタネーターが正常であればバッテリーの充電も出来ますし)
決して安くはない機械ですし場合によっては修理代も高額になります。
長く愛用するためにも定期的な運転は必要です

今回は摺動部に傷の発生が見られませんでしたので、特殊な研磨剤で修正出来ました
※闇雲に研磨してしまうと動くようにはなりますがオイル室へ燃料が混入しエンジンを破損させてしまうのでセルフで実施する場合はご注意を。

スムーズにに動くようになりましたのでフロントケース&噴射ポンプを組み付けて始動テスト

どうにか始動はしましたが始動性がすこぶる悪く白煙も多いです
次のステップは噴射ノズルを取り外し単体診断を実施します

シリンダー内に規定の圧力(開弁圧といいます)で霧状で噴霧しなければなりませんが全くダメですね。
簡単に言うとガソリンエンジンは点火プラグの火種により点火され燃料が燃えますが、ディーゼルエンジンは圧縮されたシリンダー内に高圧霧状の燃料が噴霧されることにより自己着火する仕組み。
ということで開弁圧と噴霧状態はエンジンの性能に大きく影響するコンポーネントです

整備後はこの通り

うーんいい感じ(^^)

噴射ノズルを組み付けし始動テスト

始動性はばっちり!
多少の白煙は排出しますがエンジン本体の温度が上昇すると少しは落ち着きます